スウェーデン発の人気ファストファッションブランド「H&M」
ファストファッション (fast fashion) は、最新の流行を採り入れながら低価格に抑えた衣料品を、短いサイクルで世界的に大量生産・販売するファッションブランドやその業態
H&Mは「ヘネス・アンド・ マウリッツ」の略だそう。あっ、そうですか、へー
2008年に東京に1号店を出店してから2020年時点で100店舗以上を展開しているH&M。
個人的にはあまり行く機会は多くないけど、ファストファッションブランド店といえば商品どうこうというより、大きめ音量の店内BGMでジャンルも説明しづらいようなオシャレな洋楽が流れているという漠然としたイメージ。
以前、SNSでもH&Mの店内BGMに言及したコメントもいくつかあったので、流行最先端のファッションを担うH&Mでは店内BGMにどんな曲を採用しているのか気になって調べてみると音楽ストリーミング配信サービス「Spotify」でH&M店内BGMのプレイリストが公開されているのを発見し、すぐにチェック。
1年半前に調べた時はネバヤンとかチェルミコの「爽健美茶のラップ」とかが採用されていました
Spotifyのプレイリストはこちら「H&M In Store Music」
H&Mの店内BGMは世界共通のようで
プレイリストの曲数が常に200曲以上とメチャクチャ多い。
リスト全部で長さは14時間…ということは大体お店の営業時間分以上の長さがあるよう。
全てをチェックするのは難しいので、日本の曲だけをピックアップして調べようとしても…
どの曲が日本のアーティストの曲かがわからない…
まあ、さすがに曲名やアーティストが日本語表記ならわかるけど、
英語表記のものももちろんあるわけで判断が難しい。
そこでまずは255曲から邦楽を見つけ出す作業を考える。
そこでISRCの12桁のコードに注目。
※ISRCとは
「International Standard Recording Code」の略称で、日本語で「国際標準レコーディングコード」といいます。
レコーディング(オーディオレコーディング及び音楽ビデオレコーディング)の識別に利用される唯一の国際標準コードです。ここで言う「レコーディング」とは「収録及び編集の作業によって得られた成果」をさし、バージョン違い(リミックス)やタイム違いをはじめとする「視聴覚的に識別できるもの」は全て異なるレコーディングとして扱われます。
1つのレコーディングは1つのISRCによって識別されます。異なる複数のレコーディングに同一のISRCを付けたり、単一のレコーディングに複数のISRCを付けたりすることはできません。また、一度付番したISRCを変更することはできません。(一般社団法人日本レコード協会)
まあ、要するに作品を識別する為の一意のコード。SpotifyやAppleMusic、iTunesStore等で公開する為に必要で、これがないと基本的に一般的な流通ルートで販売や配信することができません。
といことでまずはSpotifyのプレイリストをダウンロードしてこんな感じでリスト化。
一番右の列がISRC情報。
基本的にコードの先頭2桁で国を識別できるらしいので日本レコード協会のサイトから
プレフィックスコード(国名コード)一覧を取得
「ISRC上のプレフィックスコード(国名コード)」という列と「国名」を使う。
アメリカ、イギリスとかは同じレコードに2つ以上プレフィックスコードが入っているものがあったので、それは後で関数で処理できるようにレコード行を分割。(数件なので手作業)
あとはシートに貼り付けてソートしたり、VlookupとかのいろいろExcel関数使ったりして、関数の引数の順番をド忘れしたのでググったりして…。
できた。
一番右が国名情報
これで、楽曲の登録国の判別ができるようになりました。
H&M In Store Music 国別の曲数一覧 (※2021/01/11時点)
ISRC国名 |
曲数 |
アメリカ合衆国 |
107 |
グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国 |
67 |
フランス共和国 |
16 |
オーストラリア連邦 |
13 |
カナダ |
8 |
日本国 |
6 |
スウェーデン王国 |
6 |
ドイツ連邦共和国 |
5 |
ノルウェー王国 |
4 |
デンマーク王国 |
3 |
オランダ王国 |
2 |
ザンビア共和国 |
2 |
スイス連邦 |
1 |
香港特別自治区 |
1 |
メキシコ合衆国 |
1 |
アルゼンチン共和国 |
1 |
ブラジル連邦共和国 |
1 |
その他 |
11 |
アメリカ、イギリスで大半を占めていてH&Mはスウェーデン発祥だからもっとスウェーデンの曲が多いかと思ったけど、日本と同じ6曲。
「その他」は国識別ができないコードで「TuneCore (配信)」と書いてあったので、詳細は不明ですが、おそらく配信限定でCDを作っていいないようなケースが該当するのかと。
選曲の基準は不明ですが、ざっと一通り流して聞く限りではブランドイメージや購買客の年齢層に合わせた選曲をしているよう。当たり前か…。
また、邦楽の6曲を見た限りで言えば一般的なヒットチャートに入っていないような曲を選曲することで先入観や余計なイメージがつきにくいようにしていると感じました。
これで邦楽がどれかピックアップできたので、
そんなH&MのBGMに採用された邦楽6曲を紹介
『Senorita』 CANDYGIRL
元austinesのベーシストが結成した男女2人組J-Popユニットという情報くらいしかネットに転がっていないCANDYGIRL。
2ndアルバム『Morpho』に収録されたこの曲はリズムにいろんな要素が入っていて聞いていて楽しい。確かに歌詞が日本語っぽくないから言葉ががわからなくても、気にならない。
『魔法をおしえて』Ayane Yamazaki(山崎 彩音)
透き通るような声とあえてチープなリズムが一時期の渋谷系サウンンドを彷彿とさせる。
神奈川県出身の21歳、18歳でシンガーソングライターとしては当時最年少でフジ店ロックフェスティバルに出演したそう。スゴイな。
『Love Beach』Naive Super
Yushi Ibuki のソロプロジェクト、ナイーブ・スーパー。
80’~90’sの音楽から強い影響を受けたというシンセポップ・サウンドと無機質にも聞こえる女声ボーカルがマッチして印象的な一曲。
『Moment Of Our Sweet Revenge』 Naive Super
こちらもナイーブ・スーパー。
確かに洋楽と言われても気づかないな。
『Donuts Mind If I Do』 CHAI
ロックバラードでもR&Bでもテクノでもない、全編スローテンポでなんとも邦楽離れした不思議な雰囲気が漂う曲だ。
2012年活動開始、「NEOかわいい」、「コンプレックスはアートなり」というコンセプトを掲げて活動している4人組ガールズバンド。
ここ最近、CHAIの曲に触れる機会はなかったですが、以前テレビの音楽番組で『N.E.O.』を聞いた時はその特徴的なビジュアルと斬新なパフォーマンスに衝撃を受けたのを覚えています。
BGMにはCHAIも2曲採用されていました。
『Plastic Love』 CHAI
こちらの曲はバンドっぽい仕上がり。
以上6曲。
プレイリストを流して聴いていても邦楽、洋楽問わず、やはり世間一般の流行を追ったり、ジャンルを固定するのではなくどの曲も「H&Mのブランドイメージに合う楽曲」という筋が一本通っているように感じました。
今後もどんな邦楽が採用されるのかH&MのBGMのプレイリストには要注目。定期的にレポートします。
本日は以上です。